2007ECR記 3 2007.3.10
(ウィーンに咲いた桜、フランスから来た男)
MC 518 Woman's imaging Changing paradigms in the evaluation and management of breast and ovarian cancer
US で indeterminate とされた病変のMRIによる評価、卵巣癌におけるTNM 、乳癌の局所広がり診断と三つのセッションからなる。卵巣癌については、開腹での病期診断+腫瘍量減量手術のコンセプトから切除の是非、そして化学療法による腫瘍量という流れにあることは初めて知った。
SS 601 Abdominal viscera Whole-body imaging
全身検索、というくくりのためか扱うテーマは広く不均一で興味深かった。全身検索のMRIについては3TのものやPET/CTと
比較しているといった演題で、diffsuionのものはなかった(B251-3)。どれも労力の割には見返りが少ない印象であった。
DWIBSの研究は今ひとつ停滞気味のようだ。 Sens/Spec ともに中途半端なのかもしれない。
ついで、腹部リンパ節についての演題(B254-5)。B254 は#16リンパ節転移について短径 8mm 以上、不整な形態、
集簇、血管浸潤という基準を打ち出したもの。しかし特異度 87.9% をサイズクライテリアも含めるようなもので出せるのだろうか疑問ではある。B255は腹部リンパ節の結核 vs リンパ腫を比べたもので、前者は multilocular・不均一な造影効果・輪状造影効果・下部傍大動脈リンパ節 involvement がより少ない、といったことが鑑別点になるという。しかしながら腹部リンパ節結核自体頻度はきわめてすくないという印象で、果たして鑑別が問題になるような症例はあるのだろうか。
AIが二例あって、B260 は剖検所見をgold standard として、死後 CT/MRI +エコーガイド下生検の有効性を二重盲検で検討したもの。非心疾患死では70%の合致率であったというもの。法医学と臨床とのまさにニッチな分野だが普及する目はなさそうだ。興味深い内容ではあったが。
ここで午前中のセッションは終了、蘭の待つホテルへ飛んで帰る。Schwedenplatz 駅から歩いていると、異様な光景に気がついた。駅とホテルとの間には左手にウィーン最古の教会である聖ルプレヒト教会がある。その庭にどうみてもソメイヨシノにしか見えない桜の花が咲いていた。雪の残っていた去年と比べ今年は温かいとは言え、桜など本当に咲くものだろうか??
近くによって写してみても、日本の桜にしか見えない。ホテルへ戻り、蘭を誘い出して花見。蘭が桜を背景に私を撮影しようとしたとき、何か困惑の表情を浮かべていた。後で聞いてみると、どこかのおじさんが一緒に写ろうとしていたらしい。その後、この近くのインテリアショップを冷やかしがてらランチに。この教会の近くにギリシャ料理の店はあるのだが、内容がイメージできないのとやや高めであることから旧市街へ繰り出した。最初は屋根のついたカフェに腰を落ち着けようとしたのだが、どうみてもティータイムのケーキぐらいしかなさそうなので案内はしてもらったがすぐに抜け出した。すると、Nordsee というシーフードレストランを発見。キャフェテリア方式で、食事を取り分けてもらった後レジで精算、その後に食事というスタイルだ。私はパエリアとホタテのフライ、ビール、蘭はスープとサラダを注文し高いスツールに座り食事をした。値段はお手ごろでそこそこ美味しいので軽く食事を取るには向いている。天気は怪しかったが、街をぶらぶらしながら途中で見つけた書店へ。蘭は興味がなさそうだったが、私はオーストリア語辞典と中世甲胄・武器の本を購入。
午後に参加予定のセッションの時間が近づいたため学会場に戻った。
NH8 Latest advance in breast imaging
ECR today にも紹介されていたセッション。印象深かったのが フランスのRalph Sinkus 氏による MR elastography (A165)。鮮烈な動画で「硬さ」の診断がプレゼンテーションされていた。同じ癌でもスキルスと粘液癌では異なった所見が出るかと思われた。それをセッションのあとに質問してみたところ、同氏もそのようなデータを得られていると言うことだった。その点での満足もさることながら、自分の英語力に少し自信が増した気がした。このようにじかにあって話が出来るというのは何にも変えがたい経験であろう。
このセッションではこのほか MRS と optical tomography の話題もあった。
さて、日も暮れてホテルに戻り、蘭と談話。今日の夕べは某製薬会社主催のご当地セミナーがある。それについて話をしているうちに、蘭の表情が曇った。「え、製薬会社の人と話をするの?」「あ、うん。世間話みたいなもんだよ」「そんなのだとは思わなかった。私行かない」
突然の参加拒否に戸惑いつつ雰囲気は少し険悪になった。何でそのぐらいで怒るんだろうと真意を測りかねていたが、蘭にして見れば見知らぬ分野の見知らぬMRに多少なりとも突っ込んだ話になりそうなのが嫌だったのだろう。結局承諾して夕食は近くのスタンドでピザなどを購入して終わった。

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